なにが欲しいの、って、真面目に聞いてるのに。
 あなたは微笑むばかりで、ちっとも答えてくれない。

【September 27, PM 1:30】

 グラスの表面を、水滴がツツーッと滑り落ちた。トレイの上に広がった水溜りが、また少し大きくなる。
 いよいよ秋らしくなってきた今日この頃、わずかに冷房を効かせた店内は、ともすれば肌寒く感じるほどだが、それでも長いこと居座っていれば、グラスもすっかり汗をかいてしまっている。ストローでかき回すアイスティーには、小さくなった氷がひとつ、ぽつんと浮いているばかりだ。
「……それでね、相談なんだけど」
 花梨がちらりと上目遣いに切り出すと、目の前の少女は軽く首を傾げた。長いストレートの黒髪が、さらりと肩からこぼれる。
 向かい合った彼女は、花梨と同じ制服を身に着けている。平千歳、という名を持つ彼女は、花梨のクラスメイト、且つ親友と言っても良い相手だ。去年、高校入学早々に、出席番号が隣だったことから仲良くなった。
 活発そうに見えて根がどこかおっとりしている花梨と、見るからにしとやかそうで実は強情な面も持つ千歳と。意外にも思えるが、気が合ったのは幸いだった。
 二年生でも同じクラスになっていて、他の人にはなかなか話しづらいような相談ごとも持ちかけられる間柄だ。
 ―― 実は、花梨には、それこそ誰にも言えないような秘密がある。
 付き合っている人がいる、ということを、家族にも友達にも公言していない花梨だが、それには大きな理由があるのだ。
 相手のことをなにひとつ話せないから、というのが、それ。
 周囲に隠して付き合っている恋人は、こともあろうに花梨たちの通う高校の先生で、いつも冷静な表情で教壇に立って数学を教えたりなんかしている。
 ふたりが恋人同士になったのは、花梨が高校一年の秋だから、もうかれこれ一年ほど付き合っていることになる。しかし幸いにして、まだそのことは、誰にも知られてはいないようだ。
 唯一の例外とも言えるのが、今、目の前にいる千歳だ。
 いくら親友とは言っても、この秘密を打ち明けるのには、かなり勇気が要った。
 話は花梨だけの問題ではない。人に知られるところとなれば、彼にも迷惑がかかってしまう。そのことを考えると、相手が千歳であっても、話してよいのかどうか、悩まずにはいられなかった。
 けれど今は、話してよかったと思う。彼女は真剣に花梨の話を聞いてくれたし、もちろん誰かに言いふらすなんてことはしなかった。
 彼との仲は順風満帆だと言っても、悩みごとがなにもないわけではないから、そんなとき千歳が相談相手になってくれるのは、本当に嬉しいことだ。
 ひとりで抱え込んで悩んでいたらどんどん深みにはまってしまいそうなことでも、誰かに聞いてもらえれば、意外なほどにあっけなく心が晴れることもある。だから、なにか気にかかることがあったときには、こうして千歳に相談を持ちかけるのだ。
 彼のことを話すのは、いつもどことなく面映い。そんな気持ちを抱えて花梨が話を切り出すと、なんとなく気配で話の内容がわかるものらしい。千歳はいつも、そっと微笑を浮かべて、「どうしたの?」と尋ね返してくる。そして、その声に促されて、花梨は口を開くのだ。
「あのね、来月の十二日、先生の誕生日なんだ」
「十二日? それなら、あと二週間くらいなのね」
「うん。それで、プレゼント、なににしようかなって思ってて」
「『彼』には、聞いてみないの?」
「それが、聞いてみたんだけど……」
 ―― 花梨の問いに、彼はちらりと口元を緩めただけだった。
 一向に口を開いてくれる気配のない彼に焦れて、『ねえ、先生ってば』と花梨は重ねて尋ねた。
『先生、誕生日には、なにが欲しい?』
 彼の腕の中で伸び上がるようにして、顔を見上げた。視線が交わると、彼の目元がふと和らぐ。
『高倉』
 笑って花梨を呼びながら、彼の手のひらが頭を撫でた。
『そんなに気を遣うことはない』
 諭しているのか、宥めているのか、そんな口調だった。
 笑った顔にさほどの変化はないのだけれど、その表情はなぜだか、とても優しく見えた。だから、言い返すこともできなくて、困る。
『……気を遣ってるわけじゃ、ないのに』
 ぽつりと呟いたけれど、彼はなにも答えなかった。そしてその後は、花梨がなにを言っても取り合ってくれなかったのだ ――
「……っていうわけでね、先生、なんにも言ってくれないの」
 かいつまんでここに至るまでの事情を話して聞かせると、千歳はくすりと笑って「そう」と微笑んだ。
「うん……、だから、自分で考えようと思ったんだけど。どうせなら、先生が思いつかないようなものを用意して、驚かせてみたくて」
「その気持ちは、わからないこともないけれど」
 花梨の言葉に、千歳は微かに苦笑する。
 なにをあげても、彼は「ありがとう」と言ってくれるような気がする。でも、だからこそ、本当に喜んでくれるものがないかな、と考えてしまうのだ。
 お金のかかるものはあげられないし、それはどのみち違うような気がする。
(わたしが無理をしない範囲でできることって、なんだろう?)
 形に残るものじゃなくてもいい、と思う反面、なにか残したい、とも思う。彼が自分の部屋で、花梨のことを思い出してくれるような、なにか。ふと目に付いたときに、花梨を想ってくれるような、そんなきっかけになるものを。
(難しいなあ……)
 お金をかけない贈りものを選ぶというのは、本当に大変なことだと思う。
 しかし、幸い、彼の誕生日までにはまだ日がある。悠長に構えていられはしないけれど、ゆっくりと悩むのも楽しいことかもしれない。
(一年に一度きりのことなんだもんね)
「なにかいい考えが浮かんだら、教えてね。あと、時間があったら、なにか探しに行くの、付き合ってくれると嬉しい」
 ひそひそ声のままでそう告げると、千歳は柔らかく笑って「わかったわ」と頷いた。

【October 6, AM 11:20】

 教壇の上に、見慣れた背の高い影。カツカツとチョークが黒板をたたく音がして、またひとつ、答えが導き出される。
 よく通る低い声は、いつもどおり淡々と、解答への道筋を示していく。淀みなく流れるその声を追って、生徒たちはカリカリとノートにペンを走らせた。
「……では次。問五を狩野、問六を木原、問七を……」
 例題の解説が終わると、すぐさま授業は次の練習問題へと進んだ。指名された生徒たちがばらばらと立ち上がり、黒板の前へと歩み出る。
 数式を書き並べていく生徒たちの横で、彼は軽く腕組みをしたまま、テキストに視線を落としていた。伏せた目は、じっと手元に注がれたまま、微塵も揺るがない。花梨は黒板を見ているような素振りで、そんな彼の様子を密かに盗み見ていた。
 ふと組んでいた腕を解いた彼が、パラリとテキストのページを繰る。顎に手を遣って、なにかを確かめるようにそのページを見詰めた。それからわずかに顔を上げると、文字で埋まり始めた黒板に視線を遣る。
 様々な仕草を見せる間にも、彼の纏う空気は依然として静かなままだ。鋭くありながらも落ち着いた雰囲気を、彼は常に漂わせている。それは、花梨たちのような年頃の人間では、なかなか持ち得ないものだ。それを目にするたび、彼が自分よりずっと年上の人なのだと、花梨は改めて思う。
 ―― このくらいの年の、男の人に、恋人なら普通、なにをあげるものなんだろう。
 浮かぶ疑問は、ここしばらく考え続けていることだ。誰にも聞けない、聞くわけにはいかないことだから、自分ひとりの中だけで、ずっと考えている。けれど、まだ、答えは出ていない。
(先生、なにが欲しいの?)
 教壇の彼に向かって、言葉にはしないで問いかける。
 いつも教壇の上から、低く硬質な声を響かせる人。花梨の物思いになんて関係なく、問題の解き方を教える人。
(今、教えて欲しいのは、もっと別のことなのに)
 数式は、教えてもらえばいずれ解けるようになる。答えが必ず、どこかにある。ときには『解なし』なんていうのもあるけれど、それが『答え』になってしまう。数学なら。
(でも、わたしの考えてることは、そういうわけにはいかないのに)
『解なし』のままで、当日を迎えたくはない。
(教えてよ、先生)
 じれったい。焦れば焦るほど答えが見えなくなるのは、数学でも彼のことでも同じだと思うけれど。
(それでも、焦っちゃうんだよ)
 背伸びしても追いつけない人だと、わかっているから。
『急がずに自分で考えること』
 なにを尋ねたときだったか、以前、そんな言葉を彼に告げられたことがあった。
 焦らなくてもいい、と言ってくれる彼だけれど、その言葉どおりにしていられないのは、自分がまだ幼いせいなのだろうか。
(……難しいな、いろいろと)
 それは相手が『先生』でなくても悩むことなのかもしれないけれど。その事情が、話を一筋縄で行かなくさせているとは、思う。
(もし先生が、『先生』じゃなかったら、どうなってたのかな)
 ふたりが、学校ではない場所で、ただ年の離れた相手と恋に落ちただけだったなら。もう少し、いろいろなことが簡単だっただろうか。
 もっともそれは、いくら考えても詮のないこと。
 この場所にいたからこそ、彼と出逢えた。そしてこの場所で、彼と恋をしている。
 少しくらい大変なことがあったとしても、それでもやはり、出逢えた幸せには代えられないと、花梨は思うのだ。

【October 10, PM 5:45】

(……来てくれるかな)
 いつもの場所で、いつもの時間。慣れたシチュエーションだけれど、待つ気持ちは、それほどには慣れない。校舎内のざわめきを耳にしながら、自分の心臓が高鳴る音は、決して埋もれずに、はっきりと聞こえてくる。
(そろそろ、かな)
 ちらりちらりとのぞき込む腕時計の針は、ほどよい時間を指していた。来てくれるなら、もうすぐのはずだ。逆に、あと三分ほど待っても来なかったら、きっと今日は、会えない。
 窓枠にぼんやりともたれながら、意識だけは階段のほうに向けたまま、花梨は耳を澄ませる。近付いてくる足音を、間違えることなく聞き取れるように。
―― ほら)
 その音を耳にして、花梨はふっと顔をほころばせた。決して速くはない足音でも、きっと気持ちは、この場所へと向いている。花梨が待っていることを、早く確かめようとしてくれている。
 最上階にたどり着いた足音を、花梨は笑顔で迎えた。夕闇に沈む景色の中、彼が近付いてくるのが、とても待ち遠しい。
 花梨の目の前、一メートルもないところで、足音は止まった。
「高倉」
 ひそやかな声に誘われて、そっと腕を伸ばす。「やっぱり来てくれた」と、彼の腕に触れて呟くと、軽く頭を抱き寄せられた。
 安心する。いつだって、この腕に包まれれば。ほうっと息をついて見上げると、優しい目が自分を見ていてくれるから、心がふわりと緩む。そうして。
(好きだな、って)
 また、思う。この人が大好きなんだと、改めて想いを抱き締める。
―― 本当に、とてもとても好きなのに)
 腕の中から彼の顔を見上げて、花梨は「ねえ、先生」と口を開いた。
「誕生日のプレゼント、やっぱりなんにもリクエストしてくれないの?」
 少しばかり拗ねた口調に、返ってくるのはやはり、微笑だけだ。何度尋ねてもこうしてはぐらかされるばかりで、結局、誕生日目前の今日になっても、花梨の頭の中はまとまらないままだ。
「……先生になにかあげたいって思うのに、なにをしたらいいのかわからないよ」
 告げながら、どこか泣きたいような気持ちになった。大切な人なのに、なにもしてあげられないのかと思うと、切なくなる。
 花梨が表情を歪めるのを見て、彼はあやすように、花梨の髪を撫でてきた。ゆっくりと髪の表面をなぞる手のひらが優しくて、温かくて、余計に泣きそうになる。思わずうつむいたところに、頭上から静かな声が降ってきた。
「いいんだ」
 囁く声は、手のひらと同じように、優しい。気にすることはないと、言外に伝えてくれている。
「でも……去年だって、なんにもできなかったし……」
 言い募ってしまうのは、負い目を感じてしまっているからだ。彼が贈ってくれるもの、してくれることに、自分は十分に返せていないのだと。想う気持ちをどうやって形にすれば良いのかわからなくて、結局いつも、ありがとうと言うことしかできない。
 そんな花梨の気持ちを知ってか知らずか、彼の声は淡々としたままだ。
「ここにいてくれれば、それでいい」
 さらりと告げる声には、繕ったところなど微塵もない。本心から言ってくれているのだとわかるけれど、そのことで全てが許されると思えるほど、花梨の心の中は単純ではなかった。
「でも、わたし、先生にいろんなことしてもらってばっかりなのに……」
 傍にいてくれる上に、彼は形になるものならないもの、様々なものをくれる。それなのに、自分のほうは、ただいるだけで良いなんて、思えない。
 ―― 不意に、彼の手が頬に触れてきた。促す仕草に従って顔を上げると、視線が交わる。花梨に注がれる視線は、なぜだか微かに切なげな色をのぞかせていた。
 顔に触れた彼の手が、ゆっくりと滑る。慈しむように、大きな手のひらが頬を包んだ。
「……今は、そのままでいてくれれば、いい」
 一言一言、噛み締めるように告げられた言葉に、花梨は目を瞬かせた。
「そのまま……?」
 彼の言いたいことが飲み込めなくて、首を傾げて問い返す。けれど、彼はまた、なにも答えずに笑っただけだった。笑って、花梨を抱きすくめる。
 良くわからないけれど、くすぐったくて、そして嬉しい気持ちで、花梨は彼に身体を預けた。ただ、はぐらかされたようで悔しいと思う気持ちも心のどこかにある。
「……でもね、先生」
 しっかりと抱き締められたまま、彼の背中に手を回して、花梨は呟いた。
「やっぱり、誕生日なのになんにもないのは、寂しいよ」
 そのままでいいと言ってくれたことは別にして、やはりなにかしたい。ひとつだけでいいから、特別なことをして、特別な日にしたい。
 花梨がまだ、そこにこだわっていることがおかしかったのか、頭上で彼が笑った。少し身体を離して、花梨の顔を見下ろしてくる。
「それなら、日曜はうちに来るか?」
 笑い含みの声を聞いて、花梨は一瞬、「え?」と言葉に詰まった。もちろん、すぐに頷き返したけれど、そのことを、今更ながら照れ臭いと感じてしまう。
 彼の部屋に行く。その言葉には、裏にもうひとつの意味があって、だからまっすぐな言葉で誘われると、つい答えに詰まってしまうのだ。
 ところが、彼のほうは視線の端に笑みを滲ませたまま、「ゆっくり話でもしようか」などと告げてきた。
「話……?」
 少々呆気に取られて聞き返すと、「ああ」とあっさり頷かれた。まだ少しおかしみを含ませた視線は、それでもふっと柔らかくなる。
「これまで高倉とは、あまりゆっくりと話をしていなかったと思ってな」
 そう言われて、思い返してみた。確かに、彼の言うとおりかもしれない。
 学校ではもちろんのこと、彼の部屋に行ったときでも、話をしている時間はいつもそれほど長くはない。どこか時間に追われるように抱き合うばかりで、いつも忙しない。
 口数の決して多くない彼が、殊更に話をしたいと言ってくれたことが、ひどく嬉しかった。「うん」と頷く顔が、自然とほころぶ。
「それじゃあ、先生のところ、何時ごろ行ったらいい?」
 早速に尋ねてみると、「いつでもいい。他に予定はないから」と、彼もどこか嬉しそうな表情を見せてくれた。
「そうなの? じゃあ、お昼前には行くから。一緒にご飯しよう?」
 花梨の言葉に「わかった」と頷いた彼が、笑った口元でふと、「待ってる」と言い足した。
 途端に、くらりと眩暈のような心地がした。
 付き合い始めて一年以上経つというのに、まだ彼のストレートな言葉には慣れられない。めったに口にしてくれないから、不意打ちのように告げられると、思わず顔が熱くなってしまうのだ。
 彼の腕の中でそんな言葉を聞かされたら、ここが校舎の片隅だということを忘れたくなってしまうから、困る。気を緩めると、甘い空気に溺れてしまいそうだ。速くなる鼓動を自分では抑えられなくて、息苦しいとすら思わされてしまう。
 そこへ、タイミングよく、下校時刻五分前を告げるベルが鳴った。がらんとした廊下に響くベルの音を聞いて、花梨は慌てて身体を引いた。
「あの、それじゃあ、わたし、帰るから」
 急く気持ちが、口調まで早口にさせる。慌てた花梨の様子がおかしかったのか、彼は笑いを噛み殺した顔で見返してきた。
「……先生、明日も会えるかな?」
 名残惜しい気持ちが、ついそんなことを尋ねさせる。それを聞いた彼のほうは、短く「さあ」と答えただけだった。
 花梨のクラスは、土曜日には数学の授業がないから、会えるかどうかは運次第だ。はっきりとした答えを返さない彼も、そのことをよくわかっている。
「……じゃあ、会えないかもしれないから……また、日曜日にね」
 笑顔を作って見上げると、彼も「ああ」と小さく笑った。それから、ふと身を屈める。
「気を付けて」
 ひそやかに囁いた彼が、軽く唇を触れ合わせてきた。一瞬だけ重なった体温に、どきりと胸を高鳴らせたときには、彼はもう、素早く身体を離していた。
 いつものように見下ろされると照れ臭くて、花梨は唇を軽く押さえながら、照れ隠しのように笑った。
「じゃあね。先生」
 最後の言葉に、彼が頷くのを確かめて、花梨は小走りに階段へと向かう。下へと急ぎながら、心はもう、明後日のほうを向いていた。
 ―― 日曜日は、なにを着て行こう。なにを持って行こう。お昼ご飯は、なににするんだろう。そして。
(先生、どんな話をしてくれるのかな)
 聞いたことのない話が、きっとたくさんある。
(どんなこと、聞いてみようかな)
 それを考えていたら、きっと明後日なんてあっという間に来てしまうだろう。
 昇降口で、たくさんの生徒たちに紛れて靴を履き替えた。クラスメイトの姿を見つけて手を振りながら、校門へと早足に向かう。頭上には、もうずいぶんと暗くなった空が広がっていた。
 ―― 今ごろ彼は、どこかの窓から花梨がいる方向でも見ているだろうか。それとも、さっさと帰り支度をしているだろうか。
 ちらりと校舎を振り返ってそんなことを考えながら、校門を抜けた。一歩足を踏み出せば、学校での一日が終わる。
 明日は、授業は午前中で終わり。そうすれば、もう間もなく、彼の誕生日がやってくる。
『また、日曜日に』
 交わした約束を思い出して頬を緩めながら、花梨は軽い足取りで歩き出した。

Fin.